この減感作療法でいま、新しい方法が注目されています。エキスを注射するのではなく、舌の下の粘膜から体内に浸透させようという発想で、「舌下(ぜっか)減感作療法」と呼ばれます。
小さく切ったパンのかけらに花粉の甘いエキスを数滴しみ込ませて舌下に置き、2分間そのまま保ちます。
舌下から浸透させる理由は、あごの下の左右(耳たぶの下方)にあってアレルギー反応と深いかかわりのあるリンパ節にエキスが届きやすいからです。
この方法でも、エキスの濃度を少しずつ上げていきます。1日1回から始めて徐々に間隔を広げていき、最終的に2週間に1回の投与とし、2年間続けます。
従来の減感作療法だと注射を受けるために毎回通院しなければなりませんが、舌下減感作療法なら自宅でもできるため通院は1カ月に1回ですみます。
従来の減感作療法に代わるものとして、東京都は「東京都臨床医学総合研究所」と「日本医科大学」に委託して有効性確認の臨床研究を行ってきました。
その結果、患者さんの身体的負担が少なく、有効率は従来の方法に近い約7割ということが確かめられました。
まだ健康保険の適用にはなっていませんが、苦痛の少ない手軽な減感作療法として普及の期待が高まっています。